13th「不完全を求める」1。

俺がその子と初めて会ったのはまだ5月になったばかりだというのに夏のように暑い嫌な日だった。
俺は特に何をするでもなく出かけ、特に何をするでもなく家から少し離れた所にある河原でただ時間を過ごしていた。
ただそこにいるのが一番何もできなかった。
そこにその子はふらっと当たり前のように現れ、俺の横に座った。
白いブラウスに黒いスカート。髪は長く、二つに結んでいた。そして赤いバックを背負って白い眼帯を右眼にしていた。
俺はただ時間を過ごすことが目的だったのでその子のことなどは無視して時間を過ごしていた。
最初こそ俺も彼女を不審に思ったが特に害もないようなのでそのまま無視続けた。
少し気持ちは悪かったが彼女の方から俺に話しかけることもなかった。
週に時間があるときには河原に行っていたが2回に1回くらいの確率で俺達は会っていた。
会いはするがそれ以上のことは全くなかった。
そんな俺達の関係も何も変わらなかった日が一ヶ月ほど続き、変わる日が来たのは嫌に蒸し暑い6月の頭だった。
「あたしはね、生まれたときから完全だったの」
そう、初めて彼女は俺に話しかけ、俺も彼女の声を初めて聞いたのだった。

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約1ヶ月ぶりだと思うSSですが時間切れです。続けます。いつ打てるかは分かりませんが。。。
知っているかと思いますが、「SS」となっているリンクをクリックすると今までのSSが読めるので、それを使って楽をして下さい。
とりあえず、今回のは打ち終わったときにでも色々と発想元(?)のこととかを打とうかと。