11th「友情無情」。

キミは唐突に訊く。
「あのさ…あたし達って友達かな?親友かな?」
「え?そんなこと言わなくても分かってることなんじゃないの?」
「そう…だよね。うん、うんうん。何言ってんだろ、あたしってば。はは」
「ま、そんなこと『これから』に関しちゃなーんもわかりゃしないと思うけれどね」
「え…?」
「だってそうだろ?考えてみろよ。俺達が『これから』どうなるのかなんてちっとも分かりゃしねぇんだから」
俺は続けて答える。
キミは黙って訊かない。
「例えば、だ。例えば。例えば俺がここでキミを襲ってレイプでも何でもしたとする。そうしたら関係は『友達』や『親友』のままだとでも思うか?違うだろう?簡単に考えれば『加害者と被害者』ってのが妥当だろうな」
「それは、そうなんだろうけれど…。あたしは…そんなこと考えたこともなかったし…。それにそんな…そんなことは夢唯くんがするなんて思えないし」
キミは戸惑う。
俺は戸惑わない。
「でも、分からないだろう?だって『これから』なんだから」
「そうだね。『これから』なんて先のことはあたし達にはわからないもんね」
「だろ?」
「うん。でも…でも、あたしはこのままずっと夢唯くんとは親友でいたいなぁって思うよ。夢唯くんのこと好きだから」
キミはまっすぐ見つめる。
俺は。俺は。俺は、何も、見ない。
「ああ。俺も、好きだからそんなことはしないさ」
俺の言葉は空しく消える。
「ふふ。やっぱりそうだよね。あたしはそんなこと知ってるからね」
キミの言葉は無意味に残る。
「じゃあ、なんであんな、『友達だよね?』みたいなことを聞いたんだよ」
俺は無意味に問いかける。
「ん?んー。なんでだろうね?わかんないや。ほら、あたしってば結構感覚で生きている人だから」
「ふうん。感覚、ね。感覚でそんなこと聞くのか。いやーな感覚だなぁ」
分かっている。『感覚』なんて中途半端でないことは。
キミも分かっている。中途半端なんてものじゃないことは。
「はは。夢唯くんだっていやなこと聞いてきたんだし、お互い様なんじゃない?」
「お互い様ねぇ。それって俺が言うことだと思うけれど?」
「まぁ、いいじゃない。あたし達親友なんだし」
分かっていても敢えて訊かない。
分かっていても敢えて答えない。
「なんか凄く、どこかで誤魔化された気がするんですけど」
「いいじゃない。気にしないのー」
分かっていても『これ』が心地良いから訊かない。
分かっていても『これ』が心地良すぎるから答えない。
「あ、ここでお別れだねー。また今度遊びに行こうよね」
「そうだね。また」
「うん。また」
そう言って訊かずに別れる。
俺も、キミも、答えない。
俺達に『これから』がなんてないことなんて。
『これから』などはなく、ずっと『このまま』。
そう、このままであることが俺達にとっての最良なのだから。

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久々でございますね。たぶん11thで合っているかと思いますが、違ったらごめんなさい。
何と言いますか、『男女間の友情はあるかどうか』、などというのが今回のSSな訳で。
といっても、いつもの如く何となく打っていて結果的にこういうモノになった、という方が断然正しいのですけれどね。
で、私個人としては『間違いさえなければある』と思います。
私も実際そうですし、そうでした。過去形の方は失敗例を体験しちゃったのですよね。
現在進行形の方は最近会っていないですが、それなりに成功している方ですな。
まぁ、精神的に違う部分が多いからうまくいっているのでしょうけど。
それと男性より女性の方が相談し易い、という私の性格もあるからでしょうな。
と、終わりが少し見えなくなってきたところで寝ます。明日はキャラフェスですし。

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私信→Sirius☆さんへ*1
コメント返しましたが、気が付かれないかもしれないので。
「淫辱ノ禍実」のより子役の声優さんの件は今週中にメールにてご報告します。
こっそりと、内密に。